Toddler Physical Education

知ってほしい「幼少期体育」の大切さ

知ってほしい『幼少期体育』の大切さ

子どもは“遊び”がとても大切です。特に体を使った遊びをたくさん経験することで、体の成長、心の成長が著しく伸びていきます。“遊び”は、走る、つかむ、運ぶ、投げるといったような基本動作が多くあり、自分の体をコントロールする力を養います。また楽しむことで他の遊びにも興味を持ち意欲的に活動するようになります。その中にはルールがあり子どもたち同士での社会性が生まれます。

以下の文章は文部科学省(文科省)が2012年3月に『幼児期運動指針』を策定し、全国の幼稚園・保育園にその指針を通達したものを一部抜粋したものです。今、日本の子どもたちの体力低下が問題となっている中、それを解決するため幼児期からの運動がとても重要だということを伝えています。

幼児期運動指針

現代の社会は科学技術の飛躍的発展などにより生活が便利になっています。生活全体が便利になったことは体を動かす機会を減少させていることと、さらに一般的に生活するためだけであれば必ずしも高い体力や多くの運動量を必要としなくなっており、そうした大人の意識は子どもが体を動かす遊びをはじめとする身体活動の軽視にもつながっています。幼児にとって体を動かして遊ぶ機会が減少することはその後の児童期、青年期への運動やスポーツに親しむ資質や能力の育成に阻害に止まらず、意欲や気力の減弱、対人関係などコミュニケーションをうまく構築できないなど、子どもの心の発達にも重大な影響を及ぼすことにもなりかねません。このような状況を踏まえると、主体的に体を動かす遊びを中心とした身体活動を子どものうちから生活全体の中に確保していくことは大きな課題となります。幼児期における運動の意義幼児期において、遊びを中心とする身体活動を十分に行うことは、多様な動きを身につけるだけでなく心肺機能や骨形成にも寄与するなど、生涯にわたって健康を維持したり、何事にも積極的に取り組む意欲を育くむために以下のような様々な効果が期待できます。

1.体力・運動能力の向上

体力は人間の活動の源であり、健康の維持のほか、意欲や気力といった精神面での充実にも大きくかかわっておりとても重要なものです。特に幼児期は、神経機能の発達が著しくタイミングよく動いたり、力の加減をコントロールしたりするなどの運動の重要な働きを調整する能力が顕著に向上する時期です。この能力は新しい動きを身につけるときに重要な働きをする能力であるとともに、周りの状況の的確な判断や予測に基づいて行動する能力を含んでおり、けがや事故を防止することにもつながります。このため幼児期に運動を調整する能力を高めておくことは運動機能を形成するという重要な意味を持ちます。また日ごろから活動していくことで持久力が身につき集中力が高まります。

2.健康的な体の育成

幼児期のうちから適切な運動をすると、丈夫でバランスの取れた体を育みやすくなります。特に運動習慣を身につけると生涯にわたる健康的で活動的な生活習慣の形成にも役立つ可能性が高く、肥満や痩身を防ぐ効果もあり成人後も生活習慣病になる危険性が低くなると考えられています。また体調不良を防ぎ、身体的にも精神的にも疲労感を残さない効果があると考えられています。

3.意欲的な心の育成

体を使う遊びなど、思い切り伸び伸びと動くことは、健やかな心の育ちも促す効果があり、遊びから得られる成功体験によって育まれる意欲や有能感は体を活発に動かす機会を増大させ、何事にも意欲的に取り組む態度を養います。

4.社会適応力の発達

幼児期に徐々に多くの友達と群れて遊ぶことができるようになっていく中でルールを守り、自己を抑制し、コミュニケーションを取り合いながら協調する社会性を養うことができます。

5.認知的能力の発達

運動を行うときは状況判断から運動の実行まで、脳の多くの領域を使用する。素早い方向転換などの敏捷な身のこなしや状況判断・予測などの思考判断を要する全身運動は、脳の運動抑制機能や認知機能の発達促進に有効あると考えられます。
自分たちの遊びに合わせてルールを変化させたり新しい遊び方を創りだしたりするなど、遊びを質的に変化させていこうとすることが豊かな創造力を育むことにもつながります。

文部科学省HP「幼児期運動指針」より抜粋

スキャモンの発育曲線

米国の医学者、人類学者でもあるR.E.スキャモン博士が1930年にスキャモンの発育曲線を発表しています。

左のグラフは誕生から成熟期(20歳)までの発育量を100%とした割合を示したもので、子どもの成長因子を一般型、生殖型、リンパ型、神経型の4つに分けたものです。

一般型とは身長や体重、臓器の成長を示しています。
生殖型はホルモンの分泌や生殖器の成長を示しています。
リンパ型とは免疫力を向上させ、扁桃、リンパ節などのなどの組織の発達を示しています。
神経型とは脳や脊髄といった中枢神経や、視覚と中枢神経のリンクなどが発育することを示しており、神経系は生まれて5歳頃までに成人の80%の成長を遂げ、12歳までにほぼ100%まで達すると言われます。この時期は神経系の発達が著しく、さまざまな神経回路が形成されていくことで、「プレ・ゴールデンエイジ」「ゴールデンエイジ」と呼ばれる時期になります。「プレ・ゴールデンエイジ」とは5歳から8歳頃までのことを言い、この時期は特に神経系が著しく成長し、様々な運動を経験することが大切になります。「ゴールデンエイジ」は、9歳から12歳頃をさし、神経系の発達がほぼ完成に近づき安定する時期。一生に一度だけ訪れる「即座の習得」、行った運動がすぐに身につきやすいといわれています。

神経回路は、一度その回路が形成されるとなかなか消えません。例えば、いったん自転車に乗れるようになると何年間も乗らなくても、いつでもスムーズに乘ることができると思います。この時期に多くの刺激を与え、多種多様な運動経験させることが重要だということが分かります。

エーアイきっずくらぶでは、このようなことをしっかりと理解したうえで、運動の楽しさを伝え、心と体の成長を育てます。

運動からココロ育てる