Toddler Physical Education

ためになる幼少期体育の話

子どもの体力低下を防ぎたい!

【3間が足りない!】

今の子どもたちは著しく体力が低下していると言われています。その背景には様々な影響が関係しています。
まず、昔と今の子どもたちの活動を見ていくと、何が変化しているのでしょうか?
現代の子どもは“3間(さんま)”が足りないとお聞きしたことはありますか?
3つの間とは空間、時間、仲間を示します。

子どもは伸び伸びと遊ぶ(運動する)ことで体力や自分の体を自由に動かすことを身につけていきました。
遊ぶことが難しくなった理由の1つ目は“空間”の減少です。公園や空き地などが減ったこと、事件や事故の不安から外で子どもだけで遊ばすことができる場所が減ったことなどです。

 2つ目は“時間”の減少です。塾や習い事の比重が増え、遊ぶ(運動する)時間が減っていることもその一つです。

 そして、3つ目は“仲間”の減少です。子どもの数が減っているということもありますが、先ほどと同様に塾や習い事の影響で時間が合わなくなり一緒に遊ぶ仲間が減ったことです。

 これら3間が減ったことでテレビゲームや動画など、室内で一人で遊べるものに変わり、身体を使って“外で遊ぶ”機会が減ってきています。

【コロナ化による体力低下】

身体を使って“外で遊ぶ”機会がただでさえ減ってきている中で、コロナウイルスの発生がさらに運動する機会を圧迫してきました。
令和3年のスポーツ庁の体力調査ではコロナ渦による体力低下が指摘されています。

図:スポーツ庁『令和3年 全国体力・運動能力、運動習慣等調査』

コロナが蔓延し始めた2018年を境に子どもの体力測定の平均点が著しく減少していることがこの図から読み取れます。
讀賣新聞でもこの結果について記事になっていました。

コロナ下で体育の授業や部活動などが制限されたほか、多くの自治体が外出自粛を呼び掛けた。
中京大の中野貴博教授(体育科学)は「友達との接点が制限され、体を動かす行動にブレーキがかかった」と分析し、シャトルランや持久走の結果について「長い時間、運動するような項目ほど低下傾向」と解説した。

讀賣新聞オンライン

実際に、エーアイきっずくらぶでも、コロナの感染拡大防止の為に3ヵ月もの間休業を迫られ、教室を再開した後も小学校の休校や体育館の使用制限により、断続的に休まざるおえなくなりました。
このような環境でも、YouTubeで動画を配信し自宅で運動ができるようにサポートした甲斐もあり、自宅で運動できていた子どももいましたが、それでも運動するのが数か月ぶりだという子どもも見かけられました。
意識して運動する機会を作らなければ子どもたちが運動できないという時代になったのかもしれません。
エーアイきっずくらぶへの問い合わせも増え、こういった状態に危機感を持つ保護者の方が多くなっているように感じます。

【運動不足によるその他の影響】

体力の低下の原因は運動不足によるもので、その運動不足によって体力低下以外にも影響が出てきます。

  • 脳活動の低下(集中力低下や学習効率低下)

  • ストレスが溜まる

  • 免疫力低下

  • 骨が弱くなる

など、子どもの「今」に影響するもののほかにも

  • 成人後の生活習慣病になるリスクが高まる

といった将来にわたって悪影響を及ぼすものもあり、子どもの頃の運動がいかに大切であるかということが分かります。
子どもにとって運動不足は,豊かな人間性や自ら学び自ら考える力といった「生きる力」を身に付ける上で悪影響を及ぼし,創造性,人間性豊かな人材の育成を妨げるなど,社会全体にとっても無視できない問題になっています。

【子どもの力だけでは体力低下は防げない!】

子どもの力で解決できる問題ではなくなっています。私たち大人がこの問題について真剣に考え解決する必要があると考えています。

まずは、空間の改善
・身体を動かすことができる公共施設、遊び場のなどの環境を整えること
・その場所が事件や事故の心配がないこと

時間の改善
・学校での運動カリキュラムなどの見直し
・習い事などの考え方、指導者に対する教育の強化
・各家庭でも運動する時間を確保する

仲間の改善
・その場所に行く手段を整備することで他の子も集まれる環境を作る

そして、子どもたち自身が運動することが“楽しい”“面白い”と思えるような場を作ることで、積極的に取り組むようになり、運動不足解消に繋がっていくと考えます。
これらのことは現状すぐに行うことは難しいかもしれませんが、子どもたちが豊かに過ごせる環境を作り、子どもの成長を常に考え守ることに全力を注いでいきたいと思います。

運動からココロ育てる